みなさん、こんにちは。志々目です。
今回は、”「応援したくなる企業」の時代 ”、こちらの良書を参考にマーケティングの在り方について考えていきたいと思います。
ターゲットとファンの違いを知る
マーケターや広告運用者の間では、当たり前のように使われる「ターゲット」や「セグメント」という言葉は、実は軍隊用語だと言います。
‘ビジネスに軍事的なエッセンスを取り入れたのは、第2次世界対戦中に兵役した経験を持つ、米国の大学卒業生たちだと言れている。
緻密な戦略をもとに敵国を攻略する際の考え方が、顧客を”落とす”という、ビジネスの「狩猟的性格」に合致し、今日まで受け継がれてきた。‘(引用:「応援したくなる企業」の時代)
今でも根強く使われ続けている言葉ではありますが、高度経済成長期と現在では、私たち消費者のモノやサービスを買うという意識は大きく変わりました。企業から消費者へ提案する”To C (C = 顧客) ”という概念から、消費者の声を拾い上げ、商品に反映する”From C ” を経て、現在では消費者とフラットな関係を保ち一緒に作っていく”With C”という形で、ブランドを作り上げる企業が現れています。
ファンというと、大袈裟な表現に聞こえますが、消費者をターゲットと位置付けるのではなく、ファンと呼ぶのにふさわしい関係を築いている企業をご紹介します。
東京・板橋のカレー店のネパール人店主のTwitterアカウントを6万人以上がフォローした話
オープンしたばかりでお客さんが入らないという不安な状況をカタコトの日本語でTwitterにつぶやき続けたネパール人店主。
それを目にした人が、店主の人柄に共感し、なんとかしてあげようということでネット上で呼びかけ合ってフォロワー数を増やしたという例です。フォロワーが増えていくにつれ、お店を訪れるファンが増え、カレーも美味しいと評判を呼び2号店を出すまでになったと言います。
Twitter daisuki_vikas
ハーレーダビットソンの愛好家
本場はアメリカのハーレーダビットソンの愛好家もまた、日本国内の2輪車市場のシェアが1/6に縮小するなかで、新車の販売台数を増やしています。ハーレーダビッドソンを所有するオーナーを集めて開催するイベントで、オーナーたちは仲間たちと愛車を走らせることで連帯感を持ち、ブランドへの愛着を一層深めていると言います。ブランドのロゴを腕にタトゥーするファンもいるということで、製品を自分の意のままに操るよりも、スピリットが体現されたブランドに仲間としてかかわることに喜びを見出しているようです。
Xjapanのファン
企業ではありませんが、Xjapanは、他のアーティストに比べ出されているアルバムの数がとても少ないと言われています。予定されていた公演が延期になることもあります。
アルバム制作には妥協しない→レコーディングに膨大な時間を費やす→たくさん出せない
ライブでは全力で挑む→体を壊してしまう→公演が延期になる
好き嫌いがはっきり分かれるバンドと言っていいのでしょうが、いつもブレがない姿勢を持っているので、そこに共感するファンは離れることがないのでしょう。
ファンではない方には理解できない価値観ではありますが、それは簡単に構築できるものではなく、意図的に作れるものでもない、企業が持つスピリットに共感を得られたときに、他の手法では真似が出来ない強固な関係性を築くことが出来るものです。情のようなものが生まれるまでになるのでしょう。
今後人口が減少していくことを考えると、減っていく消費者を「ターゲット」として攻略対象と捉える考え方から、フラットな目線で一緒になってブランドを守ってくれる「ファン」として、長く付き合っていける関係を築いていく必要があるように感じています。では。
参考:「応援したくなる企業」の時代 著:博報堂ブランドデザイン