皆さんこんにちは。
ジーニアスウェブの加藤です。
前回は、「現場」からの声を出発点に広告運用における施策についてお話をしました。
【広告運用担当者必見】出発地点と終着地点はいつだって現場である。CPAだけでは計れない広告の事
広告運用に携わるディレクターは、アカウントの運用担当者と定期的・不定期で運用状況について密にコミュニケーションを取り、問題があれば対策について話し合い、クライアントに報告と提案をします。
先日打ち合わせの中で、あるアカウントの「反応の数が先月までと比べ大きく落ち込んでいる」と報告を受けました。
こういう場合大体焦りそうになります。
特に、問い合わせから成約までを支援する事を生業としている弊社は、成約までの最初の関門である、お問い合わせの件数に関して非常に敏感です。
では、広告運用においてこうした問題が起こった際、どのように問題解決に取り組んでいるかその一端を順に見て行きたいと思います。
目次/このページでわかること
手順1:数値から一番問題があるところがどこかを見る
まずは、運用に用いている指標を上から順番に整理していく事で、「どこを重点的にテコ入れを図るべきか」を見ます。
該当アカウントの数値を整理してみると、以下のように改善を図らなければいけない問題点が見えてきました。
一番費用をかけており、流入も多い経路であった、PCからの反応数が大きく落ちている。
従って、まずはここに焦点を当ててテコ入れを図らなければいけないという前提に立ちます。
手順2:数字を上から整理し、事実の確認をする
テコ入れを図らなければいけない問題の箇所が見えてきたら、次は「原因の特定」を進めていきます。
焦らずに運用で用いている指標の数値、つまり事実を上から順番に整理するところから始めてください。
把握するべき数値はそう多くはないはずです。
広告においては、主に下記の指標が存在します。
インプレッション数:表示回数
クリック率:表示回数に対するクリックの割合。
クリック数:クリックされた回数。
クリック単価:1クリックあたりの費用
コンバージョン数:見積もり、お問い合わせ件数など。
コンバージョン率:クリックからコンバージョンに繋がった割合。
CPA:1コンバージョンあたりの広告費用
また、上に挙げた指標の整理に加え、キーワード単位でも調査をしていきます。
やり方はシンプルで、今までCVが取れていた主要キーワードの「クリック単価」や「平均掲載順位」等を見ていきます。
比較する時間軸は、前月や前年比で見ていくと良いと思います。
これらの指標のうち該当アカウントのPCの検索の数値に絞って見てみたところ、以下のような事実が浮かび上がってきました。
1,インプレッション数が先月比で減少ペース
2,クリック数が前月比較で、100クリックほど減少するペースだが、クリック率は下落が見られない。
3,去年も同月は年間を通してもインプや反応が落ちている。
4,主要なキーワードのクリック単価が上昇しており、平均掲載順が下落している。(2〜3位代→3〜4位代)
手順3:問題点を絞り、仮説を立てる。
事実を整理できたら、以下のように原因の仮説を立てます。
■仮説
1,外的要因
競合の台頭により、クリック単価が上昇し、平均掲載順が下落した事により、結果広告のクリック数が下がった。
→「自社の広告がユーザーに見つかってない可能性が高い。」
2,内的要因
クリック率は変わっていないのであれば、
→「サイトに訪れた後の離脱が増えて競合に流れている可能性が高い。」
3,時期要因
該当月が去年と同様の動きを見せているため
→「時期が関係している可能性が高い。」
手順4:仮説がたったら対策・行動に移す。
原因がある程度浮き上がり、仮説を立てられたら、施策と検証を行う期間を決めてクライアントに報告と提案をします。
行った施策は大きく分けて以下の2つです。
1,広告側での施策
上に立てた仮説では、競合が出てきてそもそもユーザーに広告が見つかっていない可能性が考えられるので、
主要キーワードの入札単価を上げ、「平均掲載順位を上げ1週間反応が変わるか」のテストを行いました。
2,サイト側での改修
「サイトに訪れた後の離脱が増えて競合に流れている可能性が高い。」という仮説に基づいて競合の調査・分析を行ったところ、自社サービスの価格面や、見積もり時間などで、ユーザーが離脱している事が考えられたため、表記などを変更したパターンを準備し、ABテストを回しました。
手順5:仮説の検証
それではテストした期間の数値から仮説や施策が正しかったのかどうかを見て行きたいと思います。
下の比較は単価の調整を行った主要なキーワードのキャンペーンの数値になります。
■テスト開始前
広告費 ¥20,987
CPA ¥6,996
CV 3
CVR 5.66%
■テスト期間
広告費 ¥21,550
CPA ¥1,959
CV 11
CVR 22.92%
反応の数でいうと、テスト期間の数値が、前と比べて約3.7倍上昇が見られ、CPAも3分の1以下です。
この結果を受けると、自社の広告がユーザーに見つかってない可能性が高いという仮説がどうやら正しく、平均掲載順位を上げる施策がはまった事になります。
ちなみにサイト側で行ったABテストに関しては、改修をかけない元のページの方が反応が良い結果となりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
たくさんの要因が絡み合っているので、数字が落ちる原因は一つではありません。
しかし、順番に数値を整理していく事で、問題のおおよその原因と対策が見えてくると思います。
広告の反応が落ちた時、問題の解決までどのようにして施策を導き出していくかの参考になれば幸いです。
今回は広告運用に置ける数字のお話になってしまいましたが、場合によって広告側ではなくテコ入れを図るべきところが現場にあったり等ケースバイケースですので、そういったお話も今後していきたいと思います。