昨晩は涼しかったです。雨が降ってアスファルトが冷やされるとかなり気温が下がりますね。アスファルトさえなければ、日本の夏ってだいぶ涼しいんだろうな・・・と思います。イギリスから日本に来た知り合いも暑さに仰天していました。
さて、違う国だと気候の違いに加え、当然の如く文化の違いがあります。今日はそれぞれの国に根付いている「ハイコンテクストとローコンテクスト」の違いについて、WEBデザインの観点からお話します。
私は海外の知り合いがけっこうたくさんいるのですが、アジア系はやはり考え方や物事に対する姿勢に日本人と重なるところがある事をたびたび感じます。もちろん、文化圏によっても、国民性によっても、人それぞれも多種多様なのですが、他の国々と比べると、特に東アジア系の人は、個人的に色々な点で共感できるところが圧倒的に多いです。
ある時、韓国の人が一つ一つの出会いは「何か特別なつながり」だから大事だよね、と言っていて、日本人・中国人はウンウンとうなずいていたのですが、ヨーロッパ系の人たちは何のことかわからなくてポカーンとしていたのを覚えています・・・「縁」という概念をアジア系だけ共有していたんです。
エドワード・T・ホール氏が提唱している理論によると、中国や日本など、「空気を読む」ことや、明確な主張・表現を避けて「察する」ことを好む文化は「ハイコンテクスト文化」であると言われます。コンテクストとは文脈を意味しますが、これは色々な「つもり」のこと。相手に共通の価値観があることを前提にして、「○○のつもりで」相手と話すことが多くなります。そのため、ハイコンテクスト文化では直接的な言語表現を必要とせず、ボディーランゲージや雰囲気に頼るところがあります。
それに対して、アメリカやドイツなど、「ローコンテクスト文化」では、言葉をわざと濁したり「行間を読む」ということはされません。物事の背景も流れも要点も相手にハッキリと伝わるよう、直接的でわかりやすい表現が好まれます。
webサイトのデザインでは、「ハイコンテクスト」の文化圏ではアニメーションやグラフィックスを使ったものが好まれます。これは、ハイコンテクスト文化では雰囲気を重視してサイト訪問者にメッセージをわかってもらう、という非言語コミュニケーションが多いからです。
それに対して、「ローコンテクスト」の文化圏ではシンプルなデザインと文章を使ったものが多いそうです。相手に「わかってもらう」ことを期待せず、話し手が責任を持って伝えなければいけないローコンテクスト文化では、言語によるコミュニケーションが多くなるのです。
例えば、某世界的ハンバーガーチェーンのサイトなど、同じ会社でもハイコンテクスト文化の国のサイトとローコンテクスト文化の国のサイトでは違いは歴然だと思います。ローコンテクスト文化の人には、それにあったサイトを、というわけです。この先グローバル化が進むにつれて様々な文化圏の人が同じサイトを見るようになれば、相手にわかってもらえる「つもり」で雰囲気に頼ることは難しくなるでしょう。海外を意識するのならば、「ハイコンテクスト」は「ローコンテクスト」に歩み寄ったほうがいいのかもしれません。